長く『ニューヨーカー』誌の美術欄を担当し、デュシャンの決定的評伝を著したカルヴィン・トムキンズ。この本の原著となった The Bride and The Bachelors (1968) が出版されたときには、まだケージやラウシェンバーグ、ティンゲリー、カニングハムといったアーティストたちのちゃんとした評伝も出版されておらず、この本が出たことで、ようやく彼らの重要性とそれぞれの背景が世に理解されるようになった貴重な書物でした。美術史家でも批評家でもない彼は、独特のスタンスと、本当にエレガントな文体で書く人で、美術関係のライターとしては唯一無二の地位を築いた人物。それは、『優雅な生活が最高の復讐である』という著作が、雄弁に物語っています。
長く『ニューヨーカー』誌の美術欄を担当し、デュシャンの決定的評伝を著したカルヴィン・トムキンズ。この本の原著となった The Bride and The Bachelors (1968) が出版されたときには、まだケージやラウシェンバーグ、ティンゲリー、カニングハムといったアーティストたちのちゃんとした評伝も出版されておらず、この本が出たことで、ようやく彼らの重要性とそれぞれの背景が世に理解されるようになった貴重な書物でした。美術史家でも批評家でもない彼は、独特のスタンスと、本当にエレガントな文体で書く人で、美術関係のライターとしては唯一無二の地位を築いた人物。それは、『優雅な生活が最高の復讐である』という著作が、雄弁に物語っています。
この本も、ジャーナリズムにも批評にも研究にも収まらない(でもその調べは遺漏なく、関係者へのインタビューも緻密)、かつ、凡百の批評家や研究者では太刀打ちできない慧眼が文章全体を支えていて、いまだにその輝きを失っていません。ジョン・ケージとマース・カニングハムからロバート・ラウシェンバーグなどへと繋がる筋に関心のある方にとっては、今も一丁目一番地の文献です。
これに素早く目をつけて1972年にすでに出版していた美術出版社もなかなかですが、おそらくは翻訳を担当した中原佑介・高取利尚両氏のアイディアでしょう。本品はその初版です。
50年以上前の本なので、流石に経年からくる古色はある程度免れません。表紙、裏表紙、背にはうっすらとした汚れとちょっとしたスレ、ヨレがありますが、内部にはほとんど傷も汚れも書き込みもなく、出版時の読者カードと新刊案内が挿入されたままです。表紙は薄い透明プラスチックで覆われて保護されています。写真でご確認ください。
今では、ほとんど出物がなく、ましてやこのような状態での入手は不可能といっていい一品だと思います。
#カルヴィン・トムキンズ
商品の情報